- TOMOO -
“夢はさめても” ありのままの人間関係と希望を描く。
溢れ出る感情表現の言語化、表現力の高さ。それが、あなたの感性を刺激するシンガーソングライター TOMOO の魅力だ。
Official 髭男 dism の藤原聡や Vaundy、マカロニえんぴつのはっとりらが絶賛した楽曲「Ginger」のミュージックビデオ再生回数が YouTube で 229 万回(2023 年 4 月 3 日時点)を超え、2022 年 8 月に「オセロ」でメジャーデビューするなど、今、早耳な音楽ファンの間で、最も注目されている逸材のひとりだ。
冒頭からひとひねりある。ダークなイントロダクションから一変、鮮やかにカラフルに変貌するギミックな展開。この春リリースされた最新曲「夢はさめても」で TOMOO は歌う“化けの皮がはがれて夢はたちまちくずれたけれどこれでもうあなたはあなたね”と。
そう、心が疲れてふと全部が嫌になってしまったときに聴いて欲しいナンバーだ。
人と人との関係の岐路。見たくなかったのに見えてしまった、心の奥底の気持ち。深追いすべきではなかった本音など。決して綺麗なだけではない人の一面を知ってなお、その人と関係を築いていけるという希望が本作では歌われている。
心地よさと共に、日常を力強く生きることの大切さ。
歌詞の世界観としては、いわゆるステレオタイプな応援歌ではない。しかしながら、バンドサウンドとピアノが牽引するポップバランスの高さと相まって、心にすっと溶け合うように染み渡る心が躍るポップチューンへと仕上がった。夢という“人をよく見せる”魔法の効力が切れた後の日常を活きる強さが、新曲「夢はさめても」には描かれているのだ。
日本を代表するシンガー・ソングライターの系譜。松任谷由実〜aiko〜あいみょん以降のネクストに、2023 年の“いま”TOMOO は期待されている。TOMOO が歌う言葉に共感し救われる人は多い。ハッとさせられる言葉の数々。距離感の近い、でも尊敬できる人。そんな感覚だ。
幼少期から描いていた夢が叶う人なんて少ない。日々の恋愛だって、そうは簡単にうまくいくことはな い。異なる価値観のぶつかり合い。時間のすれ違い。一喜一憂し、揺さぶられる感情。そもそも、日々の生活に追われていつの間にか好きなこと、夢への扉を自ら封じる人は多い。春といえば、新生活のスタートの季節でもある。ある人は夢が叶い希望の道へ。もちろんそうでない人だってたくさんいる。しかも、世代を超えた慣れない人間関係の構築に挫折することも多いかもしれない。
そんな時にこそ、生きる上で大切な人への想いの強さ。パンチあるサビフレーズ=“抱き合えるならば 骨まで抱きしめて あてにしちゃだめよ この肌も その瞳も ばらばらに燃える ふたつの心臓は重なってゆける甘すぎた夢はさめても”の一説が力強い。現実的なアドバイス、とても深いフレーズだ。高まるビートの鼓動、ホーン隊による希望ともいえる音の響きとともに一気に目の前の景色が広がっていく。思い悩んでいたのが嘘のようだ。
もちろん、本作は恋愛を軸に描かれた歌詞物語である。しかし、受け手が自由に解釈できる文脈の広さが TOMOO がシンガーソングライターとして優れた所以だ。自分の想いに繊細であること。素顔を曇らせないこと。さらにエバーグリーンな楽曲が持つ普遍性の高さ。時代に左右されない音楽性はリスナーへ心の安定感を与えてくれるのである。直感を大切に、リラックスして暮らしたい。そんなときに聴きたい 1 曲だ。
サウンドプロデュースは前作「Cinderella」から引き続き、2023年飛躍が期待されているスーパーバンド、BREIMENの高木祥太が担当。一筋縄ではいかない、しかしながらポップソングのマナーに則ったサウンドは、ドラマティックなメロディーや歌詞世界をストーリーテリングして、あなたの心に躍動感とともに届く。まるで疲れて帰宅した深夜に飲む、空腹に優しさが染みわたるお味噌汁のように作用する。身体が本質的に喜ぶ、栄養素いっぱいのサウンドだ。
まっすぐに本質的な日々を送るために、濁りのない心地よさと共に、日常を力強く生きることの大切さを教えてくれる楽曲。それがTOMOOの新曲「夢はさめても」なのである。
- text by fukuryu(音楽コンシェルジュ)